不妊症

不妊症とは?
一般的には妊娠を希望し、通常の性生活を送りながらも、二年以上経過しても妊娠に至らない場合、不妊症と診断されます。
現在、日本において病院で不妊治療を受けているカップルは約56万組といわれています。
しかし、病院で治療を受けていなくても不妊で悩んでいる人はこれよりさらに多いと考えられます。
ここでは不妊となる原因、東洋医学的観点からの不妊、そして妊娠力をつけるために何をしたらよいかを述べていきます。
妊活をしていて不妊治療について悩んでいる方は、ぜひご参照ください。
不妊症の原因
不妊の原因は実に様々です。
男性側に原因がある場合もありますし、女性側に原因がある場合もあります。
一般的に不妊といえば女性側を主にされますが、実際その原因は男性、女性とも半々くらいだといわれます。
ただ女性には、体内で約280日もの間赤ちゃんを育て、そして産むという大変な役割があります。
なので当院では特に女性側の体をしっかり整えることが大切だと感じております。
もちろん妊娠するために男性側も一緒に体を整えることはとても有効的です。
以下に西洋医学における不妊の原因とされる代表的な病名をあげます。
女性不妊の原因となる病名
○黄体機能不全
卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が、十分に機能していない状態をいいます。
黄体ホルモンは、体温を上昇させ、受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を厚くする作用があり、妊娠を助けるホルモンです。
このホルモンが何らかの原因で正しく分泌されないと、排卵後の体温が上がらなかったり、子宮内膜が厚くならなかったり、生理周期が短かったりと、妊娠のための下準備が整わず、妊娠しにくくなってしまいます。
ホルモンの分泌はストレスとも深く関わっており、ストレスを抱え込まないようにすることが大切です。
○子宮内膜症
子宮内膜及びそれに類似する組織が、卵巣や腹膜など子宮内膜以外の場所に増殖する病気です。
例として卵管に発生した場合、卵管癒着を起こしたり、子宮の筋層に発生すると、子宮腺筋症になり、着床障害になる可能性もあります。
卵巣内で発生すれば卵巣が腫れ、チョコレート嚢胞となり、排卵障害を引き起こします。
自覚症状として、腹痛や生理痛(月経困難症)、性交痛などがともないます。
○子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍で、40代女性の30%はあるといわれ、頻繁にみられる病気です。
子宮筋腫は粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫と3つのタイプに分けられます。
このうち最も不妊症と関係するのは粘膜下筋腫です。
子宮内膜に筋腫ができると、着床の障害となり、妊娠しにくくなります。
子宮筋腫が大きくなると、激しい生理痛があったり、生理の出血量が多くなったり、貧血を起こしたりします。
○高プロラクチン血腫
プロラクチンは乳汁分泌ホルモンともいわれ、母乳を出すホルモンであり、出産を機に分泌量が高くなります。
しかし、妊娠していないのにこのホルモンが分泌されると、乳汁が出たり、無月経・月経不順などの症状がみられます。
また無症状の場合もあります。
高プロラクチン血症になると、女性ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)などのバランスがくずれ、妊娠しにくくなります。
このホルモンもストレスの影響を受けやすいので、日頃からストレスや悩み事を抱え込み過ぎないことが大事です。
○排卵障害
排卵するまでの過程に異常があり、卵胞が育たなかったり、育ってもうまく排卵できないことをいいます。
そのうち多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は不妊の女性によくみられる病気です。
卵巣の外側の膜が硬いため、うまく排卵できなくなる病気です。
この病気になると、排卵させようとして排卵をうながす黄体形成ホルモン(LH)を常時分泌することになります。
そのためLHが常時高い値を示し、基礎体温の乱れや生理不順、排卵まで時間がかかったり、まったく排卵がない場合もあります。
○卵管性不妊
卵管は精子の通り道で、卵巣から放出された卵子を取り込み、そこで受精し、子宮へと運ぶ細い管です。
卵管の癒着、炎症などにより、精子が卵子までたどり着けなかったり、卵子が卵管に入れなかったり、受精しても子宮まで移動できなかったりするトラブルをいいます。
最も多い原因はクラミジアによる感染症があります。
○機能性不妊(原因不明の不妊)
不妊に関して明確な異常が見つからない、原因不明の不妊症です。
様々な検査を行っても、1~3割の人が機能性不妊と診断されるといわれています。
男性不妊の原因となる病名
○乏精子症
通常、精子の量は1mlあたり6000万から8000万個ありますが、乏精子症では1mlあたり2000万個未満とかなり少ない状態です。
精子の量が少ないと卵子まで到達できないケースが多くなります。
男性不妊症の原因としてはもっとも多く、全体の70~80%を占めるともいわれています。
○精子無力症
精子の運動率が50%未満の状態をいいます。
元気のない精子が多いと卵子まで到達できない可能性が高くなります。
○性機能障害
代表的なもので勃起障害(ED)や射精障害などがあげられ、生殖や性行為に障害をもたらすものをいいます。
上記のような病名を診断された場合や原因不明の場合でも、どうぞ当院へご相談ください。
東洋医学の観点からみた不妊
西洋医学では様々な検査を行い、原因を特定し上記のような病名をつけて、そこにフォーカスして治療を行いますが、東洋医学ではこのような局所的な捉え方はしません。
東洋医学では身体全体の臓器や機能のバランスを診て、全身を整えることで、人間が本来もっている自然治癒力を上げて、自然と病気を治していくという方法をとります。
自然治癒力を高めることで、西洋医学的には自然妊娠できないと診断された方でも、妊娠できる体になっていきます。
当院では東洋医学である鍼灸や整体法を用いて、気の流れを整え、体の血流を改善し、骨格、骨盤などの歪みを調整し、妊娠しやすい体を作っていきます。
一般的な病院の不妊治療ではとにかく妊娠することだけに焦点をあてていますが、当院の治療は妊娠できる体づくり、そして赤ちゃんを産み、育てられる体づくりを目指します。
不妊治療が進み、治療内容だけが次々にステップアップする反面、薬やストレスによって自身の体調はかえって辛くなっていくという方も多いのではないでしょうか?
本来、新たな命を望むということは、明るく・楽しく・喜びに満ち溢れているものではありませんか?
当院では体を根本から整えることで、そんな不妊治療による辛さを解消し、自然と妊娠できる体に導きます。
また体調が良くなっていくことを実感することで、不妊治療に対する不安が薄れ、気持ちに余裕が生まれます。
東洋医学では妊娠するための生殖活動は肝・脾・腎にかかわるといわれています。
特に元気の源である腎は非常に重要です。
腎は生殖や成長の生命力、水分代謝などをつかさどる機能をいいます。
(東洋医学の腎と、西洋医学の腎臓は若干意味合いが異なります。)
子宮や卵巣などの生殖器の働きやホルモンのバランスは腎がコントロールしています。
そのため腎が弱っていると、妊娠する力が低下してしまいます。
この腎の弱まりは様々な原因がありますが、主に飲食の不摂生や過労、冷え、睡眠不足などがあります。
日頃から腎が弱まるような生活は避けていくことも大切となっていきます。
鍼灸や整体は本来その人がもっている元気を取り戻し、体全体の血流やホルモンバランスを整え、妊娠力を高めていきます。
鍼灸や整体施術は、以下のような場合の方にも有効です。
- 原因が特定できないもの
- ホルモンのアンバランスによるもの
- 排卵が起きにくいもの
- 黄体機能が正常でないもの
- 卵子の質の低下によるもの
- 精子の数、運動量、性機能が弱いもの
また妊娠しづらい方には、肩こりや頭痛、腰痛、自律神経的な不調といった症状にも悩まされている方が多い傾向にあります。
これらを解消し、体を整えることで、妊娠しやすい体となっていきます。
妊娠力をつけるためには…
今の生活を振り返ってみてください。
こんな生活をしていませんか?
- 仕事に家事と忙しくて、寝るのがいつも12時過ぎ。
- 事務仕事が多く、ほとんど体を動かさない。
- 朝食は摂らないことが多い、摂ってもシリアルやフルーツだけ。
- お昼はコンビニが多い、またパスタやうどんといった単品メニューが多い。
- 甘いものを毎日欠かさず食べる。
これでは妊活もうまくいかず、体調もすぐれないのは当然です。
現在ほとんどの不妊治療は、妊娠できなければ次々とステップアップするだけで、本来大切である体は置いてけぼりになっているのが現状です。
体が整っていない状態で高度医療にステップアップしても確率が低いままです。
また長期おこなうことにより、自分でホルモンを発して体のバランスを保つという機能が低下してしまうという弊害もあります。
薬でホルモンを補うため、体はホルモンを出す必要がないからさぼってしまうのです。
人それぞれ年齢や体の状況によって高度医療が必要となる場合もありますが、それでもベースである体を本来あるべき姿に整えるということを妊活中の方にはしっかり心がけてほしいと願います。
体の地力がついていけば、妊娠率も確実に上がっていきます。
不妊治療において、妊娠することは目的地でもあり、またスタート地点でもあります。
妊娠してからも、お腹のなかで赤ちゃんを育て、産み、そして子育てするための力も必要なのです。
理想は妊活スタートと同時に体の調子も整えていく、もっと理想を言えば、以前から自身の体に目を向けて健康的な体づくりをしておくべきです。
体を整えるために、まず以下のことに気をつけていきましょう。
〇とにかく早く寝ましょう
現代人の生活スタイルで問題なのが、夜寝る時間が遅すぎる!!ということです。
特に妊活している女性はとにかく早く寝てください。
理想は9時、遅くても10時です。
早寝早起きは3文の得といわれますが、3文どころではありません。
妊娠しやすくなるという、とても大きな得が得られます。
「遅く寝ても睡眠時間をしっかりとればいいんじゃない?」と思いがちですが、違います。
朝と夜という時間のリズムに人間は対応するようにできているのです。
実際に早く寝たほうがホルモンバランスが整い調子が良くなることに気が付くはずです。
肌ツヤだって良くなりますよ。
まずはできるだけ早く寝ることを心がけましょう。
また睡眠の質をよくするために、寝るところの環境を整えましょう。
枕元にスマホ置いてませんか?
ベットの近くに電化製品がありませんか?
電化製品からでる電磁波は眠りを阻害しますので、スマホは体から離して、電化製品は電源コードを抜いて寝るようにしましょう。
電磁波についてはこちらのページをご覧ください。
⇒ 電磁波とその影響について
〇規則正しい食生活でしっかり栄養を
体は何からできてるのか?といえば、ほとんどは食べた物を材料として作られています。
ただお腹を満たせばいい、面倒だからコンビニとか冷凍食品で、なんて食事をしていてはおかしな体ができていきます。
朝食は摂らない、摂ってもパンと果物とヨーグルトだけといった食生活では栄養が全然足りていません。
お昼はコンビニのおにぎりとカップスープにサラダ、これも全然栄養が足りません。
夜はパスタやソバといった麺類だけ、これも栄養不足です。
また近年では無理なダイエットをする女性も多く、過剰な食事制限はホルモンバランスを乱す原因にもなります。
まずは3食バランスの良い食事を心がける、そして添加物や甘いものを極力省き、ご飯に味噌汁といった和食中心の食生活にシフトしていきましょう。
旬の野菜や海藻類やゴマ、そして豆・魚・肉・卵といったタンパク源を必ずとりましょう。
朝からしっかりと、ご飯と具沢山の味噌汁、そしてタンパク源となるおかずを加えて、自分の体に栄養を補ってあげましょう。
〇体を動かそう
今の生活は昔と違って大変便利な反面、極端に体を動かすことが減っています。
一日中パソコンの前に座って事務仕事では体力が著しく低下してしまいます。
妊娠し、子供を育てるには、まずは体力です。
人間は『動物』、動く生き物ですから、しっかり体を動かして体力をつけましょう。
日常ほとんど体を動かしていない人は、まずはウォーキングからはじめましょう。
当院でお伝えしている養生法はまだまだありますが、まずはこの3つに気を付けてみましょう。
そうはいっても「忙しくて時間の余裕がなくって…」という声もよく聞きます。
もしも、なかなか妊娠しないとか年齢的に時間がないといった方で仕事をしているならば、仕事を辞めて時間のゆとりをつくるという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?
一度仕事から離れ、ストレスのかからない生活の中で体と心を休め、規則正しいリズムの生活に切り替えることは、妊活にとって大変有益なものとなります。
本来、先天的な障害や妊娠機能が失われる程の病がない限り、誰の体にも妊娠する力は備わっているはずです。
不妊で悩まれているほとんどの方は、様々な生活環境の影響により妊娠するための力が弱まっているだけです。
その力をもとに戻すため、自身の体を整えるということに今一度目を向けてみましょう。
そして基礎体温を記録することもおすすめします。
基礎体温表は今自分がどのような状態なのか、妊娠できる状態であるのかどうか、ヒントを与えてくれるツールです。
もしも今基礎体温表が乱れているならば、その表の乱れが整っていくこと=体がいい状態に向かているっていうことを、わかりやすく教えてくれるツールでもあります。
赤ちゃんをお望みで、その為にしっかりと体を整えたいという方は、どうぞ当院までお気軽にご相談ください。
妊活には時間が限られており、焦る気持ちも出てくるものと思います。
限られた時間だからこそ、しっかりと地盤を整えることも心がけてほしいと願います。
赤ちゃんが授かりますよう、そのお力になれれば何よりです。